登山を本格的にするようになってから、初心者に色々な相談を受けるようになった。中でも多いのが
・登山は初めてで何を着ていけばいいか分からない
・手っ取り早くおすすめの登山のウェアが知りたい
という悩みだ。
この記事では、登山初心者のこんな悩みを解決するべく、「これ着ておけば普通の登山(春〜秋までの3シーズンを想定)はバッチリ」という登山の服装を一通り紹介していこう。
それぞれのアイテムについて、コスト重視(できるだけ安く、登山で使える性能があるもの)とベストバイ(少し高くても、登山者に支持されているもの)の2つをピックアップしていくので、予算や本気度に合わせてチェックしてほしい。
登山初心者はスポーツウェアで代用しよう
まず始めに知っておいてほしいことは、「登山用のウェアは全てを買い揃える必要はない」ということ。もちろん予算に余裕があるのなら片っ端から買い揃えてもいいけれど、ただでさえ登山用具は値段が高い。
すでに持っているもの、例えばランニングに使っているシャツやパンツなど、専用のものでなくてもスポーツ向けの商品であれば代用できる。必要なものは買い揃え、持っているものは代用するスタイルで登山用具を選んでいこう。
まず揃えたい登山の「3種の神器」
登山をするうえで最も重要度の高いもの、それが登山靴・レインウェア・バックパックの「3種の神器」。代用できないこともないけれど、この3つなしに登山は難しい。
予算に制限があって一気に買い揃えられない場合は、
1. 登山靴
2. レインウェア
3. バックパック
の順で揃えていくことをおすすめする。
登山用レインウェアのおすすめ
雨の日にはもちろん、晴れていても風をシャットアウトしてくれる、登山における「アウター」。上下が分かれたモデルが使いやすいが、ジャケットとパンツが別売のことが多いので気をつけよう。
コスパ重視のレインウェアはミズノ・ベルグテック
登山用のレインウェアとして必要なスペックを備えつつ、コストを最小限に抑えたレインウェア。富士山での着用率ナンバーワンで信頼できる入門向けモデル。
MIZUNO(ミズノ) 2017-02-08
ベストバイはファイントラック・エバーブレスフォトン
圧倒的な軽さとストレッチ性をもつガチ勢注目のレインウェア。一度着たらやみつきになる快適さで、現時点でのレインウェアのベストオブベストと断言できる。昨年のモデルが上下3万円ちょっとで手に入る(2017年10月現在)ので狙いどき。
バックパックと登山靴だけは「おすすめ」を信じてはいけない
3種の神器のうち、残るバックパックと登山靴だけは、他人のおすすめはあまりアテにならない。足や背中の形、歩き方は人それぞれ違うためだ。必ず試着してフィット感を確かめた上で購入しよう。
登山靴とバックパックについては、おすすめではなく選ぶうえでのポイントを書いていく。
登山靴はトレッキングシューズが使いやすい
登山靴は、大きく分けて3種類。
・ハイカットで重くて硬い「登山靴」
・ミドルカット(の場合が多い)でゴツめのスニーカーにような「トレッキングシューズ」
・ローカットのランニングシューズのような「トレラン(トレイルランニング)シューズ」
登山初心者であれば、トレッキングシューズを選ぶといいだろう。強度や防水機能も安心できるレベルで、値段も1万円〜なので手が届きやすい。
バックパックは30-40Lのものを
リュックがあれば代用できる。登山用のものは腰にベルトがついていて疲労度が全然違うけれど、始めの数回は普段使いのリュックでも別に困ることはないだろう。
初めてのバックパックなら30-40リットルの容量のものを選ぼう。このサイズが一番使い勝手がよく、最もよく使われるサイズだからだ。
日帰りなら30リットル程度、泊まりを含むなら40リットル程度のものを選ぶとよいだろう。
ザックカバーも忘れずに
雨が降った時にバックパックが濡れるのを防いでくれる「ザックカバー」。低山であれば大きめのビニール袋でも代用できる。
バックパックによってはザックカバーが付属してるものや、本体が防水でカバーが必要ないものもある。バックパックの容量さえ合えばどれを選んでもほとんど変わらないので、店頭で買い忘れたときはネットで注文してしまおう。
la select
これでばっちり、登山の服装
3種の神器はできる限り登山専用のものを揃えたいアイテムだと紹介した。ここからは、家にあるものを代用しつつ一通り揃えれば今すぐにでも登山に行ける、という登山の服装を紹介していく。
揃えるべきアイテムはこの4つ。
・インナー(肌着と下着)
・防寒着(薄いダウンやフリース)
・パンツ(ズボン)
・靴下
それぞれ具体的に解説していこう。
登山用インナーのおすすめ
登山では「ベースレイヤー」と呼ばれる。スポーツ用の速乾シャツや速乾パンツで代用できる。また、女性であればスポーツブラなど動くための下着があったほうがいいだろう。
普段着を代用できるかどうかのポイントは「素材」。綿はNG、ポリエステルやウールのものならOKだ。
デザインやサイズに気をつければ、登山用のものを普段使いしても快適に過ごせるので買い揃えておいて損はない。選択肢としては長袖か半袖かということになるけれど、はじめの一枚としては、通年使えて日焼け対策にもなる長袖がいいだろう。
コスパ重視のベースレイヤーはモンベルのウィックロン
登山用のベースレイヤーとして圧倒的なコスパを誇るモデル。
mont-bell 2015-02-19
ベストバイはパタゴニアのキャプリーン
抜群の通気性を誇るベースレイヤーの定番中の定番。ポリエステル素材なのに何度使っても臭くならず、シンプルなデザインと軽さを備えた逸品。
ライト・ミッド・サーマルと3種類の厚さがあり、最も広範囲に使えるライトがおすすめ。
Patagonia 2016-01-28
登山用防寒着のおすすめ
登山では「ミドルレイヤー」と言われる。ユニクロのウルトラライトダウンや、スポーツ用のウィンドブレーカーなどで代用できる。
ダウンは濡れてしまうと保温力がなくなるため、使用するときには注意が必要だ。また、春や秋の登山なら合わせて手袋やニット帽も用意しておこう。
コスパ重視の防寒着はモンベルのクリマプラス100
モンベルの定番フリースで、初めて登山用品を揃える人によく選ばれる。着心地がよく、普段使いもできる点も良い。
(モンベル)mont-bell
防寒着ベストバイはパタゴニアのナノエア
風をしのぐ・濡れに強い・通気性よし・肌触り最高と、防寒着に革命を起こしたウェア。一度着たら脱ぎたくなくなる快適さは筆舌に尽くしがたい。
登山用のパンツ(ズボン)のおすすめ
動きやすいシルエットとストレッチ性が求められ、こちらもスポーツ用のジャージなどで代用できる。パンツの選択肢は3パターン。
・ロングパンツ
・ハーフパンツ
・ハーフパンツ+タイツ
木の枝や岩にこすることがあること、ハーフパンツは春や秋は寒いことを考えると、初心者にはロングパンツがおすすめだ。
コスパ重視のロングパンツはフェニックスのアラートパンツ
ストレッチ性があるのはもちろん、登山用のロングパンツとしては最安の価格帯にありながらベンチレーションを備える充実っぷり。ガチ登山者からも支持される定番ロングパンツ。
phenix 2017-02-10
ベストバイはノースフェイスのアルパインライトパンツ
脚にフィットする細身のシルエットと抜群のストレッチ性。ロングパンツが嫌いだった僕の心を変えた実力派。デザインが綺麗なので街から登山まで使える逸品。
THE NORTH FACE 2017-04-24
おすすめの登山用靴下
靴下は意外と代用しにくいアイテムかもしれない。登山に使うソックスは、足首を覆う長さと、長時間の歩行に耐える厚みや耐久性が必要になるからだ。
登山用の靴下は2000円〜3000円とほとんど価格差がないため、おすすめの1足に絞って紹介する。
おすすめ靴下はフォックスファイヤーのゼロドライソックス
いつでも足をドライに保ってくれ、心地よく、防臭性に優れる。単色で落ち着いたデザインと、絶妙な長さが素晴らしい。
登山用品はレンタルもできる
ここまで登山に必要な服装を紹介してきたけれど、やはりネックとなるのは値段が高いことだろう。もし全てを揃えるなら、コスパ重視のものでも10万円近くかかってしまう。
・登山は続けるか分からない
・とりあえず1回登山をやってみたい
こんな人には、登山用品のレンタルサービスをおすすめしたい。
僕も同期と富士山にいくときに利用したことがあるけれど、15000円前後で登山に必要な装備をほぼ全てレンタルすることができ、とても便利だ。
登山用品レンタル>>>そらのした 

登山の服装は普段使いも視野にいれて選ぼう
始めはとにかく安いものを揃えようとしがちだけれど、もしできるならば、ベストバイの方もぜひチェックしてみてほしい。たしかにコストはかかるけれど、そのぶんデザインやシルエットが綺麗で着心地もいい。
デザイン・色・シルエットに気をつけてさえいれば、登山用のウェアは普段着としても使うことができる。というか、普段着ている服よりもずっと機能的で着心地がよいはずだ。
そう考えると、登山用のウェアもそこまで高い買い物でもないと思えるのではないだろうか。
まとめ:登山スタイルに合わせた服装を
登山に必要な服は揃えることができただろうか。ひとくちに「登山に使うウェアを揃える」と言っても、その手段は実はたくさんある。
・とにかく安いものを買う
・高くてもいいものを買う
・すでに持っているもので代用する
・レンタルする
これらを、自分の予算や登山スタイルに合わせて組み合わせることで、無理なく登山を始めることができるだろう。
この記事は登山の専門用語や難しい言い回しを極力避けて説明してきたつもりだけれど、もし分からない点・質問などがあれば、ツイッター(@Sight50Sky)やメール(minamisoujuあっとまーくgmail.com)から気軽に連絡してほしい。
written by 南蒼樹(@Sight50Sky).
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