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登山用レインウェアにゴアテックスが必要ない5つの理由

「レインウェアなら、とりあえずゴアテックス(Gore-tex)。」このような意見を聞くことは少なくない。
 
確かに、数年前まではそうだったかもしれない。
 
だけど、素材が飛躍的に進歩している今、そんなことを言っているのは時代遅れだ。むしろ、ゴアテックスを使っているという条件でレインウェアを選んでいるだけでは「ベストなレインウェア」にはたどり着けないとさえ思っている。
 
レインウェアに限って言えば、ゴアテックスの時代は終わりつつある。
 

レインウェアはゴアテックスから独自開発素材へとシフトする

ゴアテックスを使ったレインウェア

確かにゴアテックスには今まで登山者をサポートしてきた信頼と、長年アウトドアウェアの素材として使われてきたことによる高い技術力がある。毎年、新しい素材を開発してもいる。
 
だけど、ゴアテックスの時代はもう終わる。
そう思う5つの理由を説明していこう。
 

ゴアテックス、なんて言っているのはオッチャン世代だけ

「レインウェアはゴアテックス」というイメージがあるのは、数十年前から登山に関わっている登山者のはずだ。
 
「ゴアテックスは信頼がある」と言われても、僕はゴアテックス一強時代を知らないがためにあまりピンとこない。「ゴアテックスは加工技術が確立されている」という意見に対しても同じで、実際に登山するうえでは細かい技術の違いには気づかない。
 
シームテープが何ミリ、なんて話をされても、使っているうえではごく僅かな、気にならない程度の差しかないのだ。
 
これは僕だけに限った話ではなくて、若い世代の登山者は先入観なく、フラットな視点で素材を見ている。「ゴアテックス?なにそれ」というような若い登山者は、近いうちに出てくるだろう。
 

アウトドアメーカー各社の独自素材レインウェアの方が快適

これは年間70日以上登山する僕の所感ではあるけれど、ゴアテックスよりも、アウトドアメーカー各社が凌ぎを削る自社開発素材のレインウェアの方が圧倒的に快適だ。
 
2017年のサマーシーズンでは「ゴアテックスを使っていないレインウェア」をあえてチョイスし、実際の登山で使ってみた。使ったのは、パタゴニアのクラウドリッジジャケットと、ファイントラックのエバーブレスフォトンパンツ。
 
どちらも防水性・透湿性はゴアテックスと同等かそれ以上で、しなやかな着心地の良さやストレッチ性を備えていて、ゴアテックス素材のレインウェアよりも快適だった。
 

ゴアテックスのライセンス料が高い

アウトドアメーカーがゴアテックスを使う場合、ゴア社にライセンス料を支払う必要があるため、どうしてもコストは割高になる。結果、プロダクトの価格も高めに設定される。
 
ゴアテックスという素材が圧倒的に優れているなら、多少高くてもそれを選ぶことには価値がある。
でも、独自開発素材と差がない、むしろ独自開発素材の方が優れているような状況では、わざわざ割高なゴアテックスを選ぶ必要はない。
 

濡れるときには濡れる

どんなレインウェアを選んでも、濡れてしまうコンディションは存在する。それがゴアテックスであろうとなんであろうと、濡れるときには濡れるもの。
 
ウェアと体の隙間から水が入ったり、土砂降りに晒されてレインウェアの表面がペタペタで撥水性がなくなってしまったり。
 
つまり、アウトドアメーカーの公表している「耐水圧」の数値は目安にしかならないのだ。一定の水準さえ満たしていれば、多少のスペックの差はほとんど関係ない。
 
「ゴアテックスだから濡れない、安心」というのは幻想だ。
 

透湿性よりもベンチレーション

同じことは透湿性に対してもいえる。レインウェアに使われる防水透湿素材は、「水は通さないのに水蒸気を逃がす」という魔法の素材のように語られることが多いけれど、実際にはそんなに快適なものではない。
 
そもそも透湿というのは、ウェア内の湿度が外の湿度よりも高いときに、ウェア内部の水蒸気を外に排出する仕組み」だ。
 
この「ウェアの内の湿度が外の湿度よりも高いとき」という条件をよく考えればわかるけれど、どんなに透湿性の優れた素材でも、「暑い、蒸れて気持ち悪い」となって初めて水蒸気の排出が始まるのだ。
 
代謝のいい人にとっては、透湿性のスペックよりも、直接換気できるベンチレーションの方が10倍快適だ。
 
実際、パタゴニア社は「透湿性の数値は曖昧すぎて意味がない」という理由で、透湿性の数値公開さえしていない。このことを考えると、カタログスペックは「一定の参考」にはなるけれど、それ以上にはなり得ないことが分かる。
 
実際のレインウェアの快適性は、ウェアの裁断やフィット感、ストレッチ性やベンチレーションといった、物理的な要素や、製品としての完成度に依るところが大きい。「ゴアテックスかどうか」とはあまり関係がない話である。
 

まとめ:ゴアテックス限定のレインウェア選びはやめよう

「ゴアテックス」という素材だけでレインウェアを選ぶのは、正直言って、もったいないことだと思う。最近の独自開発素材の躍進は目を見張るものがあるし、実際に使ってみてもその快適性には驚くばかりだ。
 
僕が言いたいのは、「ゴアテックスはダメだ」ということじゃない。素材やスペックという先入観を捨てて、もっとフラットな視点で選ぶことが、あなたにとっての「ベストなレインウェア」への近道だということだ。
 
レインウェアが急速に多様化する今、それを選ぶ登山者にもある程度の知識が必要になってきている。
written by 南蒼樹(@Sight50Sky).
 
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