くうねるだす

信州大学4回生の自然派ブロガー。 おいしいものがすき。おさけも少々。

世界初?海底から富士山まで登山してきた

シェアする!
【スポンサーリンク】

最高の天気に恵まれた海の日の3連休に、前後2日を足した5日間。登頂した山は富士山たったひとつ。
 
それでも、生活に必要な物を全て背負い、脚の痛みに耐え、灼熱のコンクリートを歩いて歩いて歩き倒して、富士の森で道を見失い、道端で寝て歩き抜いた160キロ余りの山旅は、間違いなく、人生で1番辛く厳しいものだった。
 
そしておそらく、世界で初めてのスタイルで富士山登山に挑んだ山旅だ。

f:id:kuunerudasu:20170719183636j:plain

2017年7月14日、大瀬崎海水浴場

大瀬崎は駿河湾を擁する西伊豆の岬の先端部にある、超有名なダイビングスポットだ。

f:id:kuunerudasu:20170719183543j:plain

ここから、富士山に登ろうと思う。

f:id:kuunerudasu:20170719183524j:plain

富士山に…

f:id:kuunerudasu:20170719183026j:plain

登るっっ!!!

f:id:kuunerudasu:20170719183020j:plain

 

マイナスから富士山へ。そしてマイナスへと降りる富士山登山

3806m登って富士山に登頂し、3800m下る。
 
3776m。これが日本の最高峰・富士山の標高だから、それ以上の標高差をかけて登頂するには、スタート地点を下げるしかない。
 
マイナス標高の海中からスタートして富士山に登頂した後、さらにマイナス標高まで降りる。5日間に及ぶマイナスtoマイナスの山旅だ。
 
スタートは西伊豆の大瀬崎、ここでダイビングしてマイナス標高から登り始め、海岸を歩いて田子の浦へ。

f:id:kuunerudasu:20170719183040j:plain

そこからは富士山へと伸びる古の登山道「村山古道」を辿って富士山の山頂に達し、御殿場ルートで下山する(村山古道と富士山登山ルートはgoogle mapで見つからなかったため省略)。

f:id:kuunerudasu:20170719183036j:plain

そのあとは道路をひたすら歩いて御殿場・沼津を抜けてスタートした大瀬崎まで戻り、ダイビングをしてマイナス地点へと達する、というプラン。
 
総歩行距離は約160キロ、旅の相棒は前職の同期のY氏。
始めた時は(というか旅を終えるまで)全行程で何キロの道のりになるのかも知らなかったし、むしろ平地なんだから楽勝でしょ、という、今考えれば甘すぎる考えだった。
 
▽山と海とを制する者のバックパック(というのは嘘で、これは預けていたフィンを回収して帰宅する時の写真)。

f:id:kuunerudasu:20170719183044j:plain

 

登るために潜る。マイナス30mのダイビング〜沼津へ

さて、話は戻ってダイビング。今回はアマチュアダイバーの潜れる深度限界、マイナス30メートルからスタートする(2人ともPADIダイビングライセンス所持)。

f:id:kuunerudasu:20170719183014j:plain

未だかつて、登るために潜る(下る)という意味不明なことをした人間はいるのだろうか。

f:id:kuunerudasu:20170719183017j:plain

▽陸にあがって再スタート。

f:id:kuunerudasu:20170719183619j:plain

上裸+海パン+ビーサンという、まさに舐めくさったスタイルで歩き出す。

ちなみにこのビーサンは通称「ギョサン」と呼ばれ、水場でも滑らない、海人ご用達のスグレモノ。

 

▽1時間後。

f:id:kuunerudasu:20170719183729j:plain

▽さらに数時間後。

f:id:kuunerudasu:20170719184711j:plain

そして日が暮れる頃には、登山靴を履いてた。ギョサンの限界を体感した。

ちなみにこの足袋ソックスは大雪山の麓の東川町にある「YAMAtune」というお店で購入したもの。なかなかイイ感じ。

 

このビーサンでこしらえたマメと、それを庇って歩いたことによる筋疲労がこのあと僕を苦しめることになるが、そんなことはつゆ知らず、途中の港で小イワシを手づかみしたり▽

f:id:kuunerudasu:20170720115818j:plain

新しいのかレトロなのかよく分からない看板を見つけたり▽

f:id:kuunerudasu:20170719184657j:plain

夕暮れが綺麗だったり▽

f:id:kuunerudasu:20170719184624j:plain

ダラダラと22時頃まで歩き続け、沼津港付近まで歩いて就寝。が、海岸で野宿したので蚊の猛攻をくらい、ほとんど寝られず2日目を迎えた(Y氏は熟睡していた模様)。

 

駿河湾沿いを歩き、村山古道のスタート地点・田子の浦へ

f:id:kuunerudasu:20170719184746j:plain

2日目スタートは8時。富士山は雲のなか。

この日は駿河湾を左に見ながら、田子の浦(富士)までひたすらに海岸線を歩く。

f:id:kuunerudasu:20170719184813j:plain

ずーーーーーーーっと。

▽モンスター休憩(普段は絶対に飲まない)を挟んでみたり

f:id:kuunerudasu:20170719184834j:plain

▽元気しかないY氏は堤防で遊んでいたり

f:id:kuunerudasu:20170719233309j:plain

灼熱の海沿いで肌を焦がすこと(膝は見事にテーピング焼けした)5時間、ついに田子の浦に到達。

f:id:kuunerudasu:20170719184858j:plain

最古の富士登山道である村山古道はここ(正確には田子の浦港ではなく、田子の浦海岸)を起点として富士山に向かい、富士宮ルート新6合目と合流する。 

▽富士市も0メートルからの富士登山ルートを整備している(村山古道とは別)。

f:id:kuunerudasu:20170719184919j:plain
今回僕らは正確な村山古道やルート3776 は通らず(どちらにせよ舗装路歩きなので)、温泉など寄りたい場所に適当に寄りながら進んだ。
太陽とコンクリートにやられて既にヘロヘロだった僕らは何とか富士市内の温泉「湯らぎの里」にたどり着くも、臨時休業。心折れるかと思った、マジで。
 
仕方ないのでさらに90分先の銭湯まで気力で歩く。たどり着く頃には真っ直ぐ歩くことはできなくなっていて、この日「鷹の湯」でソロソロと歩いていたゴツめのメンズを見かけた人がいたら、それは十中八九、僕だと思う。
 

静岡に来たら「さわやか」のハンバーグを食べないと始まらない

今回あえて正規のルートを外れたのには理由があって、その筆頭は「さわやか」である。言わずもがな、静岡にきたらコイツを食べないと何も始まらない。ソースはオニオン一択。静岡はさわやかなのだ。中毒性のあるウマさ。

f:id:kuunerudasu:20170719184939j:plain

晩餐のあとは、富士山登山で必要になる5食分の食料と水の買い出し。富士宮の市内を離れると、そこから先に買い出しできるようなスーパーは存在しない(ちなみに村山古道は、村山浅間神社から先が本格的な登山道となる)。

 

そしてまとわりつくような夜の熱気の中を、村山浅間神社まで歩く。雨が降り出しそうな天気だったし、明日の行程を考えると、何としてもこの日のうちに神社についておきたかった。

 

深夜1時半に村山浅間神社に到達。汗だくの僕らにとって、綺麗なトイレと自動販売機(道を挟んだ山本商店にある)はまさにオアシス。そのまま神社の端っこで野宿。

 

ついに富士山登山へ。村山古道のルートロスト〜富士宮6合目

3日目にして、ついに、登山道を歩ける。じゃあな、コンクリート。
古の富士山の登山道、村山古道を辿る。コースタイムは約10時間。

f:id:kuunerudasu:20170719185013j:plain

f:id:kuunerudasu:20170719185028j:plain

実はこのルートは一昨年通っていて、緑の溢れる良きトレイルだ。

f:id:kuunerudasu:20170719185115j:plain

一昨年よりピンテ(ピンク色のテープ。登山道や林道の目印)が少なく、ルートも不明瞭。先行者の踏み跡とテープを頼りに進む。

 

最初は確信を持って歩いていたが、次第に違和感を感じ始める。

一昨年、こんなルート通ったか?と思うようなルート。そこについた先行者のトレース。

しばらくして、違和感は確信に変わる。ルートを見失った。僕らは、村山古道でもなんでもない、富士山の深い森のなかに迷い込んでしまったのだ。あるはずの特徴的な地形が見当たらず(「し」の字杉があったか定かでないし、札打ち場のケヤキは通らなかった)、先行者の踏み跡もふいに不明瞭になった。

 

辿る沢を2-3本外したかもしれないと思いトラバースすると僅かなトレースがあり、それを辿ると林道に出た。そこは、本来のルートからかなり西にずれた林道だった。危なかった。

 

林道を辿って天照教林道の分岐まで歩き、村山古道に復帰する。

f:id:kuunerudasu:20170719185147j:plain

そこから先はトレイルを外すことはなかったが、やはり一昨年と比べて明らかにピンテが少なく、トレイルも不明瞭になった気がした。

 

それにしても、富士の森の苔の絨毯はものすごい。しっとり雨の降る日だったら屋久島に匹敵するレベルなのだ。▽

f:id:kuunerudasu:20170719185202j:plain

僕はこのトレイルが大好きだし、富士山を登る99%の人がこの美しい森の存在に気付きさえしないことを少し残念なような、でも嬉しいような気がしている。

 

連日の疲れが溜まった僕らは、休憩しながら寝てしまう、ということを繰り返しながら登って行く▽

f:id:kuunerudasu:20170720120000j:plain

何度かスカイラインを横切り、倒木を抜けて▽

f:id:kuunerudasu:20170719183514j:plain

イチゴ畑を横切り▽

f:id:kuunerudasu:20170720120034j:plain

急登を登り切ると不意に視界が開け、少し上がると雲海荘に達する。今回の旅で唯一確保した宿だ▽

f:id:kuunerudasu:20170719183457j:plain

ここで富士宮5合目から来た知り合いのN氏と合流して宴会。

ビールが超うまい!!(まだ下界を歩いただけで何も成し遂げていない)これのために登ってるんだと思う、本当に。

 

山小屋では周りに迷惑にならないよう必死に消臭。最近この「A2Care」という消臭スプレーを使っていて、かなりいい感じに無臭になってくれるので重宝している▽

f:id:kuunerudasu:20170719183114j:plain

翌日は山頂でのご来光を狙うため24時起き。即就寝、爆睡。

 

寝坊、鳥居、富士山山頂、大砂走り

もはや見出しに書くべきことがまとまらなすぎて非常に残念な感じになってしまったが、あったことをザックリまとめるとそんな感じだ。
 
まず、寝坊した。3名のうち、目覚ましをセットしたのが1名、目覚ましを止めるだけ止めて起きなかったのが1名。どうなってんだ(ちなみに僕は目覚ましをセットさえしなかった組だから何も言えない)。
 

f:id:kuunerudasu:20170719183419j:plainN氏は登山初心者だけど無類の神社好きで、富士山にはちょいちょい鳥居があるから、始終嬉しそうにニコニコしていた。

▽鳥居

f:id:kuunerudasu:20170719183400j:plain

f:id:kuunerudasu:20170719183322j:plain

そして、ついに、富士山の山頂に...

f:id:kuunerudasu:20170720115920j:plain

到達ー!!!

f:id:kuunerudasu:20170719183254j:plain

これでマイナスからの3776mを達成したわけだけど、達成感は全くなし。際立つゴツさ。

 

下山は御殿場ルートで大砂走りを一気に1400mまで駈け下る。途中、Y氏がズッコケて傷だらけになるというアクシデントもあったけど、御殿場5合目に下山完了。

f:id:kuunerudasu:20170719183141j:plain

▽御殿場ルートはハードだけどマイカー規制がないしサービスも充実してていい感じ。

f:id:kuunerudasu:20170719183136j:plain

そして、ここから遥か先のゴール地点まで、ひたすら続くコンクリートの道が始まるのだ。

手始めに御殿場駅までの16キロ、3時間の道のり。これが結構ハードで、御殿場駅からほど近い銭湯「人参湯」に達する頃にはみんな疲労困憊。次の日仕事のN氏とはここでお別れした。

 

夜通し歩き倒して御殿場から沼津、そして大瀬崎への遠すぎる道のり

ご飯食べて洗濯して、御殿場を出発したのは夜9時。気温も落ち着いた時間帯、国道をひたすら沼津方面へと歩く。

 

一度治った踵のマメは1時間ほどで再発し、硬いコンクリートを歩き続けた足の裏は接地するたびに痛みが走る。数キロ歩いては歩道に座り込んで休憩して、起き上がって足を引きずって歩いて。この繰り返し。

 

夜通し歩いて歩いて歩き倒して、空がほんのり明るさを帯びる午前2時半、沼津まで4キロの地点にやっとの思いで到達した僕らは、バイパス沿いの歩道で横になって、そのまま寝てしまった。身体中汗ベタベタで足は熱を持って痛み、数メートル横をトラックが猛スピードで走り抜ける。でも僕らは、そんな中でも、浅い眠りに落ちるには十分すぎるほどに疲れ切っていた。

 

目をさますと朝4時半。すっかり明るくなった空の下、気持ちだけで前へと進む。太陽が登ってあの暑さに晒される前に、1歩でもゴールに近づいておきたかった。

見覚えのある沼津のマンホール。ついにここまで帰って来た▽

f:id:kuunerudasu:20170719183109j:plain

ゴールの大瀬崎14時集合で、締めのマイナスへのダイビングをガイドしてもらう予定だったけど、早朝が朝になり、朝が昼になっても、ゴールまでの距離はちっとも減らない。

歩いて歩いて歩いて歩いて歩いてf:id:kuunerudasu:20170720120009j:plain

歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて歩いて。

f:id:kuunerudasu:20170720115957j:plain

痛みを忘れるために、ただ歩くことに集中する。足を前にだす。

こんなに天気が良くて暑くて、目の前に綺麗な海が広がっているのに、歩かなければならない苦痛。

f:id:kuunerudasu:20170719183103j:plain

大瀬崎まで20kmと出ていた標識がジリジリと短くなって、最後の数キロは「あーー」とか、言葉にならない声をあげながら歩いた。

そして、予定をオーバーすること100分。

f:id:kuunerudasu:20170720120228j:plain

ついに僕らは、5日前に歩き始めたこの場所に、帰って来た。

昨夜から実に15時間以上歩き続けて、50数キロの道のりを歩き切ったのだ。

f:id:kuunerudasu:20170719183054j:plain

 

大瀬崎で最後のマイナス標高へのダイビング

大瀬崎には、お世話になっている伊豆のダイビングインストラクター・大石さんをはじめ、馴染みのあるメンバーが待っていてくれて、ダイビングの準備を手伝ってくれた。

暗くなり始めた海に、最後のマイナス標高へと達するために、ダイビング。

 

そして...

 

マイナス23.7m!!

▽深度限界の30メートルこそ行けなかったものの、ついにマイナスtoマイナスを達成。

f:id:kuunerudasu:20170719183011j:plain

ダイビングが終わって5日ぶりの車に乗ったとき、「車ってすげぇなぁ」と心の底から感じた。進んでるのに、足が痛くないんだから。

 

▽このあと焼肉を食べにいって、富士山から海まで歩いた話をしたら、店員さんがサービスで巨大な富士山アイスを作ってくれた。感動の旅の締めくくり。

f:id:kuunerudasu:20170719183048j:plain

 

まとめ

海抜0mから登るsea to summitや、さらに海抜0mまで下るゼロtoゼロというスタイルは既にやった人がいるし、僕自身、一昨年にsea to summitを達成している。でも、今回のマイナスtoマイナスはきっと初めてのチャレンジなんじゃないかと思う。

 

正直に言うと、これを登山と呼んでいいのか分からなくなるくらいにひたすらコンクリートの平地を歩いたわけだけれど(5日中3日半はコンクリート)、僕は、本来、登山や自然遊びはもっともっと自由でいいと思う。

登り始めや降りる場所も、歩くルートも(登山道を外れろという意味ではない)、そこに到るまでの移動手段でさえ、僕らは自分でやりたい方法を選び、それを実現することができる。ダイビングと登山をくっつけたっていいじゃないか。

 

今回の旅は、自分でやりたいと思ってやったのに、本当に辛くて痛くて、道中声をかけてくださった方々の一言ひとことが本当に嬉しかった(ヒッチハイクをしてないのに、乗ってく?と聞いてくださった方、がんばれー!!と応援してくださった方など)。日本って温かいね。

 

最後に、この長い道のりを一緒に歩いてくれたY氏、N氏、そしてダイビングを強力にサポートしてくれた大石さんとダイビングショップSUN la IZUのメンバーに感謝したい。本当に、ありがとうございました!!!

 
それでは、また!written by 南 蒼樹.

【追記】

海から富士山を目指す旅に役立ちそうな情報をまとめておいたので、もし興味のある人がいたら、ぜひ読んでみてほしい▽ 

www.minamisouju.com