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【レビュー】パタゴニアのクラウドリッジは安心の新定番レインウェア

・パタゴニアのレインウェアって剥離するんじゃない?
・ゴアテックスじゃないけど防水性は大丈夫かな
正直いって、レインウェアに関しては今までマトモな商品のなかったパタゴニアに対して、不安な部分は少なからずあると思う。
 
そんな中、日本の登山シーンにフォーカスして開発されたクラウドリッジを、2017年の春・夏と2シーズンの登山で使ってみたので、そこで感じたことをレビューしていこう。
 
幸いなことに(?)2017年の夏山シーズンはことごとく雨に降られたので、2シーズンの短いテスト期間とはいえ、じっくりとその感触を確認することができた。

パタゴニアのクラウドリッジってどんなレインウェア?

▽7月末、中央アルプスにてクラウドリッジの感触を確かめる僕

クラウドリッジジャケットを着用して登山する男性

 
まず、今回レビューしていくクラウドリッジについてざっくり紹介しよう。クラウドリッジはジャケットとパンツがあるけれど、この記事ではジャケット単体での使用レビューをしていく。
 
 
名称:クラウド・リッジ・ジャケット(パンツもあり)
発売:2017年の春モデルより販売開始
スペック:h2noスタンダード(パタゴニア独自の機能テスト)をクリアする3レイヤーの防水透湿シェル
付属:スタッフサック
重量:390g(メンズMサイズ)
価格:約30000円(ジャケット)、約20000円(パンツ)
コンセプト:「日本の夏山で登山するためのレインウェア」。パタゴニアの日本アンバサダーが開発やテストに深く関わった、日米の共同開発モデル。
 
夏山から雪の低山まで安心して使える耐候性・耐久性を備えた3レイヤーのレインウェア。パタゴニアのレインウェアは裏地が剥離するというイメージを持っている人もいると思うけれど、3レイヤーにしたことで剥離とは無縁とのこと(パタゴニアのスタッフに直接聞いた)。
 
詳しくは>>>クラウドリッジの購入レビューをチェック

パタゴニア・クラウドリッジの総合評価

各ポイントでの評価はこちら。
他のメーカーやコスパを考慮したうえでの価格:★★★☆☆
着心地と、実際の登山で使用したうえでの快適性:★★★☆☆
多量の雨や長時間の降雨に対する防水性:★★★★☆
汗による内部の蒸れを軽減するための透湿性と換気機能:★★☆☆☆
悪天候下の耐候性と、長時間の使用や摩擦に対する耐久性:★★★★☆
 
総合評価をひとことで言うならば「縦走を含めた3シーズン安心して使える新定番のレインウェア」という感じ。
 

価格・コスパは「十分満足できる」

上下で約5万という価格設定は、決して安くはないけれど、手が出る範囲内に収まっている。
コスパ最強のモンベルで同等スペックのレインウェアを買っても3万5000円くらいかかることを考えると、パタゴニアの3レイヤーのシェルとしてはかなり良心的な価格設定だと思う。
 
夏山から冬の低山までガッツリ使えることや、実際に使ってみた感触を加味した上でのコスパという意味でも「なかなかいいぞ」と評価できる仕上がり。気持ち的には星3.5くらい。
 

着心地は良いが、快適性は改善の余地あり

着用したときの着心地はかなり満足度が高かった一方で、実際に雨の中での快適性では細かい不満がいくつかあった。
 

業界トップレベルのサラサラの着心地

サラサラの裏地はとても秀逸で、着心地はめちゃくちゃ快適。生地の厚さを考えると業界トップレベルの着心地の良さ。
 
生地自体にストレッチ性はないから、動きの多い下半身については不安が残る(僕はジャケットのみの購入)けれど、動きの多くない上半身はまったく問題なし。動作にストレスがない立体裁断はさすがパタゴニア、といったところ。
 
少し気になったのが、そのシルエットだ。標準体型の人は、胴回りの生地にやや余裕が残ると思う。気温の低い時期に下に着込むことを想定したものだと思うけれど、もう少し細身なシルエットでも良かった。
 

雨の中での快適性は、細かいポイントが気になった

雨の中使用した後のクラウドリッジジャケット

樹林帯など風のない場所や、真夏の高温での使用は「快適」とはちょっと言いづらい感触だった。一方で、低温時や稜線の風雨に晒されるコンディションでは、ベースレイヤーの上から羽織るだけで風雨をシャットアウトできた。
 
細かいポイントを書くと、袖口や裾のつくりは文句がなく、フードとその周りのコードも優秀だ。
 
個人的に微妙だったのは、縦長の2つの大きなフロントポケット。アクセスは容易でファスナーの開閉もストレスがないけれど、3シーズンのレインウェアであれば、ポケットはスマホが入るサイズのものが1つあれば十分。
 
そして、このポケットにスマホを入れると、ギリギリバックパックの腰ベルトにかかってしまう位置なのがちょっと気になった。
 

h2noスタンダードの驚異的な防水性

水を弾くクラウドリッジジャケット

細かな素材については明らかにされていないけれど、ひとつ確かなことは、パタゴニアのh2noの防水性という基準は信頼できる素晴らしいものだった、ということ。
 
テストした期間には何度も雨に降られたけれど、ゴアテックスを含めて、これまで使ってきたウェアで最高レベルの防水性だった。
 
初夏の白神山地では、一緒に行ったメンバーのレインウェアが濡れているのに対して、クラウドリッジだけは全く濡れていないような状況。素晴らしい。
さすがに肩まわりなどバックパックと密着する部分は濡れてしまっていたが、それはどのレインウェアを選んでも避けられない。
 
数年に及ぶテストができていないので、これから防水性がどうなっていくかはまだ分からないため星4つとしたが、とりあえず現段階では最高級のパフォーマンスといえる。
 

ベンチレーションを省いた換気機能への代償は大きい

クラウドリッジの特徴的なポイントは、通常ならば脇の下に配置されるベンチレーションを排除し、代わりにフロントポケットの裏地をメッシュにすることで換気機能をもたせたことだった。
 
この換気システムに対する購入当初の僕の期待は、見事に裏切られた。
フロントポケットを全開にしていても思ったほどの換気機能は得られず、蒸し暑い日には全面のジップを開けたり、袖を捲り上げて対応するほかなかった。
 
僕が言いたいのは、クラウドリッジが他のゴアテックス素材と比べて透湿性が劣っているとか、そういうことではない。というか、そんなものは正直行ってどんぐりの背比べだ。
 
生地自体の透湿性は、「暑い、蒸れてる」と感じて初めて機能するもの(レインウェア内部の湿度が外気の湿度より高くなって初めて水蒸気が排出されるから)。日本の夏山を登山するうえで、ベンチレーションは省いてはいけなかった。
 
フロントポケットに対する不満はすでに書いたけれど、「ポケットは小さいの1つで十分だから、代わりにベンチレーションをつけてほしい」。これが、クラウドリッジの透湿性・換気機能に対する僕の意見だ。
 

耐久性と耐候性には死角なし

北海道の幌尻岳から北トッタベツ岳まで縦走したとき、ハイマツの藪漕ぎというなかなかハードな使い方をしたのだけれど、そこでも生地が傷んだりすることはなかった。
 
8月の南アルプス、小聖岳から聖岳に向かう稜線で、多くの登山者が強風で断念して引き返すコンディションに遭遇したことがあった。そんな過酷なコンディションでさえ、ベースレイヤーの上にクラウドリッジを重ねただけで、吹き付ける風と雨をがっちりシャットアウトしてくれた。
 
耐候性、耐久性という面では全く死角はないと、身を以て感じた経験だった。
長く使ったときの耐久性という意味では評価できないけれど、少なくともスペックとしては悪天候の3000m峰でも安心して命を預けることができる。
 

まとめ:クラウドリッジは安心して使える新定番のレインウェア

フロントポケットとベンチレーションについてはかなり辛口のレビューをしたけれど、正直、この部分は個人差が大きく現れる部分だ。僕は代謝がかなりいい方だからベンチレーションは外せないと感じたけれど、人によっては全く不満がない、ということもあるだろう。
 
それ以外の、防水性や耐候性というスペック面では、非常にパフォーマンスが高くて、安心して使えるレインウェアだと思う。特に尖った特徴があるわけではないけれど、良質で、使い勝手のいい、いわば「レインウェアのお手本」とでも言えるようなアイテムだと思う。
 
かなり個人的な視点から好き勝手に書き散らかしてしまったけれど、パタゴニア・クラウドリッジの購入を検討している人の参考になれば、これ以上に嬉しいことはない。
written by 南蒼樹(@Sight50Sky).
 
クラウドリッジの詳細は>>>クラウドリッジ購入レビュー
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